タッチレス財務の時代へ:最先端のCFOは業務のほとんどを自動化へ

Keith Causey、クラウドERP変革および開発担当シニア・バイスプレジデント | 2025年6月5日

何十年もの間、CFOは業務効率を高めるために自動化を追求してきました。しかし今、AIの機能が財務アプリケーションに組み込まれ、AIエージェントと呼ばれる新しいカテゴリーのソフトウェアによって拡張されることで、財務プロセスをエンドツーエンドまで自動化することが実現可能になっています。これは、真にタッチレスな財務業務の時代の幕開けです。

従来の財務モデルは時代遅れになりつつあります。反復的な業務をAIに委任することで、CFOとそのチームは単なるプロセス改善の積み重ねではなく、ビジネス戦略の推進と価値創出に注力できるようになります。その結果、より成果を重視し、素早く対応できる財務部門を実現できます。

個人が重要な役割を果たし続けることには変わりありませんが、その役割や責任、そしてマインドセットをより高度な業務に合わせて適応させる必要があります。

AIドリブンの財務とタッチレス業務

AIドリブンの財務とは、これまでの従来型プロセスを置き換え、自律的に動作し、人の関与を最小限に抑えるエージェンティックフローを実現できるものです。オラクルの真のSaaS ERPプラットフォームに組み込まれたAIエージェントを活用することで、追加コストなしでタッチレス業務が可能になります。これらのAIエージェントは、従来の手法を置き換え、絶えず進化する新しい機能を導入するための基盤を提供します。AIエージェントは、変化するデータやビジネス状況にも適応します。また、複雑な質問への回答やパーソナライズされた推奨事項の提供など、認知的推論を必要とするタスクにも優れています。

タッチレス業務は、あらゆるエンドツーエンドのバックオフィスプロセスに適用できます。基盤となるAI主導の自動化によって、複雑さを軽減し、精度と完全性を高めることが可能です。財務部門は、AIの能力が単なる個別タスクの自動化にとどまらないことを理解する必要があります。AIは複数の情報源からデータを継続的に収集・統合・分析することで、財務チームがより正確なインサイトを導き出し、高品質な予測や提案を行うことを支援します。これにより、リアルタイムの意思決定や行動を後押しすることができます。

しかし、真にAI駆動型の財務を実現するためには、組織は真のSaaSネイティブプラットフォームを採用する必要があります。こうしたアプリケーションには、定期的な機能アップデート、堅牢なセキュリティ、高いスケーラビリティが備わっています。真のSaaSプラットフォームに組み込まれたエージェンティックフローは、データをよりクリーンに保ち、高品質な分析と生産性の向上を支え、スタッフが戦略的な業務に集中できるようにします。一方で、後付けのアプリケーションやハイパースケール型、ホスティング型、自社開発のアプリケーションは、コストがかさみ、複雑になりやすく、スケーラビリティも十分ではない場合があります。

Oracle Fusion Cloud ERPのドキュメントIOエージェント (2:00)

エージェンティックフローの一例に、ドキュメントIOエージェントがあります。買掛金管理を支援するドキュメントIOエージェントはOracle Fusion Cloud ERPに組み込まれており、データを自律的に取り込み、自己修正を行ったり、追加の対応が必要な場合はそれを特定し、必要な書類を作成します。その後、Oracle Cloud ERPの支払いエージェントが割引の機会を特定し、運転資本を最適化するための支払いオプションを提示します。これらのは、人が確認して承認できるように準備されます。承認が完了すると、エージェントが必要な書類を作成し、取引先や銀行とのコミュニケーションと取引の完了を行います。




デモを見る: Oracle Fusion Cloud ERPの元帳エージェント (1:01)

SaaSアプリケーションの勘定照合エージェントは、リアルタイムで照合作業と取引のマッチングを行います。元帳エージェントは、口座残高の調整と分析を継続的に実行し、必要に応じて確認・承認用の仕訳案も提供します。これらのエージェントは、例外を特定して自己修正を行ったり、支援を要請することもできます。

こうしたエージェントにより、従来は複雑で時間がかかっていたプロセスがタッチレスに変わります。その結果、財務チームは本当に重要な業務、例えば財務予測、運転資本の最適化、成長やコスト削減の機会の特定、決算の迅速化、財務リスクの軽減などに注力できるようになります。多くの定型業務が常にバックグラウンドで実行されるため、スタッフは例外の管理に集中し、問題の芽を早期に摘むことが可能になります。

AIドリブンの財務、AIエージェント、そして真のSaaSプラットフォームの概要については、過去の記事『反復的な財務変革の時代の終焉』をご覧ください。

タッチレス業務の実現

タッチレス業務を実現するためには、まず考え方を変えることが重要です。CFOは、AIがもはや将来の概念ではなく、すでに利用可能であり、財務機能を変革できる力を持っていることを認識する必要があります。ただし、AIドリブンの財務とは、既存のプロセスを置き換えることではありません。それは、これらのプロセスを継続的に改善し、AIの能力を財務・業務・戦略的なビジネス目標と結びつけ、よりタイムリーで十分な情報に基づいた意思決定を促進ことを意味します。

AIドリブンの財務を現実のものにするためには、CFOがデータ、人材、プロセスをそれに合わせて適応させるための準備を整える必要があります。

AIドリブンの財務の中心にあるのは、高品質で信頼できるデータです。財務組織は、確実なデータガバナンスと品質管理を実践しなければなりません。CFOは全体を見渡し、戦略的な成果を導くために必要な情報を収集できる立場にあるからこそ、自らリーダーシップを発揮して取り組むことが大切です。

従業員もまた、この変革において重要な役割を担います。AIは財務の役割そのものを変えつつあり、新しいスキルや既存スキルの見直しだけでなく、組織運営やリーダーシップのあり方にも変化が求められています。今後は、データスチュワードやAIスペシャリストのような役割が新たに生まれるでしょう。AIドリブンのインサイトを理解し、行動に移せる経験豊富で高度なスキルを持つ人材は、最大の価値を引き出すために欠かせない存在となります。AIによる自動化と人による監督の適切なバランスを実現するには、慎重なマネジメントが求められます。

プロセスを変革することも同じくらい重要です。CFOは、ビジネスの優先事項に合わなくなった古いプロセスを見直し、シンプル化、標準化、自動化を積極的に進める必要があります。AIドリブンの財務は、重複や無駄を排除し、業務フローを効率化すると同時に、新たに登場する高付加価値の機能を取り入れる機会をもたらします。適切に導入すれば、AIドリブンのプロセスは追加のプログラミングをしなくても自ら学び、調整を重ねていくことができます。入力される情報が変わっても、タッチレス業務はほとんど人の手を煩わせることなく柔軟に対応し、変化に適応できます。

AIドリブンの財務は、シェアードサービスやアウトソーシングのモデルを再構築することも可能にします。従来の財務業務は人による手作業に大きく依存してきましたが、AIドリブンの財務では多くの機能を集中管理し、自動化できます。AIエージェントは常に稼働しており、処理量やタイムゾーン、言語の壁といった制約を取り払います。この新しいモデルに適応した組織は、大幅な効率向上やコスト削減の機会を得られるでしょう。

加えて、CFOはAIガバナンスや規制遵守にも積極的に関わるべきです。AIガバナンスの指針を策定し、パフォーマンスを監視し、透明性を確保しながらAIモデルを継続的に改善していくことが重要になります。

CFOにとって、財務組織をこれまで以上に効率的で高付加価値なチームへ変革する絶好の機会が訪れています。AIを中心に据えた基盤を築くこと、つまり、人材、プロセス、データ、ガバナンス、管理体制を整えることが、成功のカギとなります。AIの進化はますます加速しており、AIドリブンの財務の導入を先延ばしにすることは大きな価値を失うことにつながります。今こそ行動を起こすときです。今日AIを積極的に活用する人が、明日の財務部門をリードする存在となるでしょう。

オンデマンド・ウェビナー: AIドリブンの財務:エージェントの活用

AIを活用してよりスマートな意思決定を行い、効率を向上させ、財務組織を将来的にわたって強化する方法について、財務やテクノロジー分野のリーダーがその洞察を共有します。

Oracle Cloud ERPのAIによる自動化とリアルタイムのインサイトが、財務業務をどのように変革するのかをご覧ください。