OCIが、Zettascale10とAcceleronで最高のAIパフォーマンスを再定義

80万GPUのスーパークラスター、新しい高速Ethernetベースの接続、そして非常に柔軟なソフトウェアライセンスにより、OCIは究極のAIパフォーマンス・プラットフォームへと進化します。

Alan Zeichick | 2025年10月16日


ラスベガス—圧倒的なAI対応のクラウド・コンピューティング・パワーにご注目ください。オラクルは今週開催された「Oracle AI World」で、マルチギガワット規模のクラスター内で16ゼッタFLOPSを実現する「OCI Zettascale10」スーパークラスターを発表しました。さらに、オラクルは、Oracle Acceleronと呼ばれる高速Ethernetベースのネットワーク・インターコネクトや、お客様にこれまでにない幅広い導入オプションを提供する新しいマルチクラウド・ソフトウェア・ライセンス制度も発表しました。

Zettacale10 Supercluster、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)上に構築され、複数のデータセンターにまたがり、最大80万台のNVIDIA GPUを統合します。これらはすべて、オラクルの超低遅延InfiniBandおよびRoCEベースのネットワークで接続されています。InfiniBandはスーパーコンピュータ向けの業界標準である高速インターコネクトであり、RDMA(Remote Direct Memory Access)を用いて、1台のサーバが別のサーバのメモリに直接読み書きすることを可能にします。Oracle Acceleron RoCE(RDMA over Converged Ethernet)ネットワーキングは、RDMAをクラウド・コンピューティング・クラスターへ拡張するもので、特にAIタスクに適しています。

OCIのエグゼクティブ・バイスプレジデントであるMahesh Thiagarajan次のように述べています。「お客様は、大規模なAIモデルを、消費電力を抑えながら高い信頼性で本番環境に構築・学習・デプロイすることができます。OCI Zettascale10により、OCIの先進的なOracle Acceleron RoCEネットワーク・アーキテクチャと次世代のNVIDIA AIインフラを融合することで、比類なきマルチギガワット規模のAIキャパシティを実現します。」

Zettascale10の能力は、ゼタFLOPS(1秒あたりの浮動小数点演算回数)やギガワットという単位だけでは測れません。Zettascale10クラスターは、高密度に配置された多くのデータセンターにまたがり、すべてが大容量の光ファイバーで相互接続されています。その成果は、最も高度なAIワークロードにも対応できるスーパークラスターとなっています。

最初のZettascale10スーパーコンピュータは、テキサス州アビリーンにある大規模ギガワット級データセンターキャンパスに設置されています。

Acceleron RoCEがコンピュートファブリックを拡張

Zettascale10スーパークラスターのカギとなるのは、最先端の高速ネットワーキング・インターコネクトであるOracle Acceleron RoCEネットワーク・ファブリックです。InfiniBandは優れたパフォーマンスを提供しますが、専用ハードウェアが必要となるのに対し、Acceleronは特殊なEthernetネットワーク・インターフェースカード(NIC)とケーブルを使用してOCIデータセンター内の高性能GPUを接続します。これらの特殊なNICには独自の4ポートEthernetスイッチが組み込まれており、この設計により、大規模かつ複雑なネットワーク内のトラフィックの遅延が抑えられます。

OCIは複数のサービスの集合体ですが、実際には一体化された仕組みとして設計されています。当社の製品をご利用いただく際は、価格設定、プロビジョニングの方法、コンソールの使い方、全てのAPIの連携、SDKのダウンロード方法、そして各サービスの機能すべてにおいて、統一されたデザインと使いやすさを感じていただけます。」

クレイ・マグワイク オラクルCEO

オラクルは、Acceleronネットワーク・ファブリックにより、GPU NICを複数のネットワークスイッチに同時に接続し、より平坦なネットワークファブリックと多数の分離されたネットワークプレーンを構築することで、お客様が極めて大規模なAIクラスターを迅速かつ低コストで展開できるよう支援します。このアーキテクチャにより、トラフィックが迅速に流れ、GPUがデータの送受信待ちで足止めされることが少なくなります。この設計の一つ目のメリットは効率性であり、Zettascale10スーパークラスターは従来より大幅に高速に結果を提供できます。二つ目は予測可能性です。スーパーコンピュータ・クラスター全体でパフォーマンスがより均一となり、GPU間の遅延が減少します。これは通過するスイッチが少なく済むためです。さらに、ネットワークの一部が高負荷で一時的に停止しても、耐障害性が確保されます。最後に、Acceleron RoCEファブリックでは、ハードウェアやソフトウェアの保守のために特定のネットワークプレーンが停止しても、データフローを維持できます。

Acceleronの独自アーキテクチャは、ネットワーク内およびネットワーク全体でラインレート暗号化を超低遅延で実現します。お客様は、従来の2倍のネットワーク容量、最大2倍のストレージIOPS(1秒あたりの入出力回数)、そしてゼロトラストパケットルーティング(ZPR)セキュリティポリシーが、ホスト、つまりすべてのAcceleron NICおよびネットワーク上のあらゆるポイントで直接適用されるという利点を得られます。このアプローチのメリットの一つとして、NIC上でセキュリティポリシーを適用することで、オブジェクトストレージへのインターネット経由のアクセスを遮断し、データの流出を防ぐことができます。

オラクルのCEO、クレイ・マグワイクはOracle AI Worldの基調講演で次のように述べています。「Acceleronは、当社の全てのI/Oセキュリティと高速化機能の基盤です。お客様は、より低コストで高いピークパフォーマンス、さらに使いやすさとセキュリティの向上を実感いただけます。」

ユニバーサルな購入方法

多くのお客様がオラクル、Amazon Web Services、Google Cloud、Microsoft Azureといったハイパースケーラー各社の多様なアプリケーションやサービスを組み合わせて利用するとき、クラウド導入は複雑になりがちです。組織の技術要件を満たすためにアーキテクチャが複雑にならざるを得ない場合でも、サービスライセンスをシンプルに保つのに役立つのがOracle Multicloud Universal Creditsプログラムです。

このプログラムを利用すれば、お客様は希望するクラウド上、または複数のクラウド上でOracle DatabaseおよびOCIサービスを調達できます。クレジットはOracle Database@AWS、Oracle Database@Azure、Oracle Database@Google Cloud、OCIで利用可能です。これにより、ワークロードの導入先を柔軟に選択できるとともに、クラウド間で一貫した契約が適用されます。

OCIのシニア・バイスプレジデントであるカラン・バッタは次のように述べています。「現在、37のマルチクラウドリージョンがAWS、Azure、Google Cloudで展開されています。そして間もなくOracle Multicloud Universal Creditsが登場し、契約の簡素化と業界初の柔軟なクロスクラウド消費モデルが実現します。これにより、お客様は、かつてないほど多くの選択肢と柔軟性を手に入れることができます。」クラウドをまたいで単一のライセンスおよび利用モデルが適用されることで、お客様はOracleアプリケーションやサービスの管理・ガバナンスを一元化でき、データベース体験にも一貫性がもたらされます。

また、企業は自社が選択したクラウド、または複数のハイパースケーラー・クラウドで、あらゆるOCIサービス利用にクレジットを充当することも可能です。

エンタープライズAIにおける新たなパフォーマンスと柔軟性の基準

Zettascale10スーパーコンピュータとAcceleron RoCEネットワークファブリック技術を活用することで、お客様は最大80万台のGPUを使った大規模なAIワークロードを実行できます。また、Oracle Multicloud Universal Creditsプログラムにより、複数のクラウド環境でのOracle Databaseサービスのライセンス取得と運用がこれまでになく簡単かつシンプルになりました。これらの進化により、オラクルはマルチクラウド環境のお客様に、効率性、シンプルさ、柔軟性、卓越したパフォーマンス、そして多彩な選択肢を提供します。


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